結転生(ゆいまーる)基金
【趣旨】
母子家庭の母親(シングル・マザー)を対象とする雇用を琉球大学において創出することによって、母親に事務職等の実務技能訓練の機会を与え、労働者としての質向上に貢献すると同時に、母子家庭の財政的な環境を改善し、その子の教育の環境をも改善することとし、以下のことを実施いたします。
1.母子家庭の母親(シングル・マザー)の雇用創出
2.母子家庭の子どもの就学指導
【背景・目標】
1.沖縄県における子どもの貧困問題について
沖縄県は、全国1位の離婚率(0.253%)を抱え、また、ひとり親世帯、特に母子家庭の世帯率は、全国でも最も高い割合(3.06%)となっております。
母子家庭の年間就労収入は、200万円未満の割合が全国平均(64.0%)より高い74.8%となっていることや、沖縄県の非正規職員の従業員比率が全国1位(44.5%)であること及び、非正規職員に占める女性の割合が高いことを鑑みると、我が県における母子家庭をめぐる生活環境は、総じて厳しい状況にあると想像できます。
そして、この母子家庭の生活レベルの差が沖縄県における子どもの貧困率29.9%となり、全国レベルの約2倍近くの差となっている一因となっているところです。
沖縄県における母子家庭の生活レベルの格差は、子どもの貧困問題を生み出し、さらに、そのまま子どもの教育の格差ともなり、その教育の格差が、その子どもの将来の生活の格差となる、いわば世代を超えて更なる子どもの貧困を引き起こす「貧困の連鎖」という社会問題ともなってまいります。
2.これに対する琉球大学の挑戦について
沖縄県における子どもの貧困問題及び貧困の連鎖の問題については、子どもに焦点を当ててその救済策を講ずることが必要であることは言うまでもないことですが、と同時にその世帯の雇用対策やそれに伴う経済格差の是正も大事です。
沖縄県の教育・学術界を担っている琉球大学として、或いは県内において大企業に匹敵する雇用の機会を提供できる本学として、この地域の問題について看過すべきではないと考えています。
このため、後述する施策を進めることとしており、そのための財源として「結転生(ゆいまーる)基金」を設けることとしております。
皆様方のご理解とその支援へのご芳志をお願い申し上げる次第であります。
琉球大学理事 福治友英
寄附の使途
1.母子家庭の母親(シングル・マザー)の雇用創出
年間若干名を、それぞれ5年間の有期雇用の非常勤職員として採用します。
労働条件については、週40時間(賞与、種々の手当あり)といたします。また、職員宿舎の入居も可といたします。なお、支度金として5万円程度のスタートアップ支援経費も用意する予定です。
2.母子家庭の子どもの就学指導
上記1で雇用する母親の子どもについて、本学も参画している一般社団法人大学コンソーシアム沖縄の子どもの居場所学生ボランティアセンターの協力を得て、当該子どもの学習成績の向上を図ります。
活動報告
平成30年11月1日から、1名をフルタイム非常勤職員として雇用している。
令和4年1月に開始した診療情報管理士資格の取得に向けた通信教育の受講費用の支援を行った。